シン・ウルトラマンと最近の話

バタバタと時間が過ぎていき、もう6月も終わる。6月はなんだかうまくいかないことが多くて力不足だなあと思うことばかりだった。知らない人の前でしゃべるとき、いまだに子どものようにガチガチに緊張して何も言葉が出てこなくて、36になってこの緊張はない…克服しなきゃと思って本を買った。めったに本を買わない(買っても読まない)ので、これを機にちゃんと克服するところまで持っていきたい、「見られる」「評価される」場面に弱いのはわかってるつもりではある。緊張、私の嫌いな言葉です。

 

というわけで?シン・ウルトラマンの話。なぜかウルトラマンが比較的好きなのと、周りからの評判も上々だしシン・ゴジラも見たしなあ、と思って、観に行った。

映画を見た感想に行く前に、せっかくだから自分のウルトラマン歴について箇条書きでまとめてみた。興味ない人は飛ばして。

・テレビシリーズの入り口はウルトラマングレート。火星の環境で戦ってるの、怖かったなあ。

楳図かずおウルトラマンのマンガが家にあって、それをずっと読んでいた。辞書みたいな分厚いの。ホラーテイストだけど、ちゃんとウルトラマンしてる

・昭和ウルトラマン(初代~80まで)のオープニングがいまでもおよそ歌える。もちろんリアルタイムで見ていたわけではないので、再放送で知ったのか、インターネットが出てきて見たのか…

・小学生高学年で平成ウルトラマンのはじまり、V6の長野くん主演のティガにぶち当たり、ませた心を溶かしてもらった。ウルトラマンタイプチェンジの始祖。

・ダイナ、ガイア、と順調に楽しんでいたが、コスモスあたりからバトルよりも人間ドラマになっていったように感じて冷めてきてしまい、ネクサスの時代を先取りしすぎた作品で完全にドロップ。ウルトラマンオタクになる試練から脱落した

・そもそもそこからウルトラマン作品がちょっと間があく。やっときた40周年記念のメビウスが「人間の言葉でしゃべる」ことと、「ウルトラマンと一体化していることがバレている」ことが受け入れられず、ほぼ視聴せず。

・最近でしっかり見たかなと思うのはX、オーブ、ゼットあたり。どれも演者が上手で楽しめた。でも、ウルトラマンが武器を使うのはいただけない。

・令和近辺は「ウルトラマン」というブランドを生かしたグッズを売ることがたいへん意識されているため、過去ウルトラマンが登場したり、親子や師弟などの関係があることが多い。それは構わないのだけど、あまりにも同じキャラばかり出ることに若干食傷している。

以上だろうか。とにかく自分は「ウルトラマンが「人ではない存在」であってほしい」「ウルトラマンが肉弾戦をしてから必殺技で倒す、お決まりのパターンであってほしい」を中心に視聴したりしなかったりしている。

 

ということで以上をふまえてシン・ウルトラマンの感想。ネタバレを含むので注意されたし。

 

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見終わった感想としては、「シン・ゴジラウルトラマンでもやってみた」という作品にとどまっていて新しさはなかった、ように感じた。

ウルトラマンが人間の体に同居して、他人と触れ合うことで、生死を超えるための群れとしての強さを知っていく。ウルトラマンという超越存在が訪れたことで地球にもたらされた滅亡の危機を、ウルトラマンと仲間たちで乗り越えていく。ウルトラマンは最後、同居していた人間の命を甦らせるために自らの命を差し出す。そんなに人間が好きになったのかウルトラマン、と言って終わるこの作品。

ウルトラマンファンとして楽しめるところ。ウルトラQ風味のオープニング、ペギラみたいな愛嬌ある怪獣たち、ウルトラマンがグルグルまわって攻撃するアレ、巨大化しちゃうヒロイン、ゼットンのあのピポポポって音。そういうリスペクトがいっぱいあった。

ちなみに、ゴジラをまったく知らない自分が見たシン・ゴジラは、怪獣が現れること、怪獣への対策をすること、そういったリアリティとフィクションの境目をギリギリで攻めて、人間賛歌として楽しめる作品になっていたように思う。ゴジラファンだったりすると「ゴジラじゃない」とか「人間にフォーカスが当たっている」とかそういう話になってくるのかもしれない。

で、シン・ウルトラマンがどうだったかというと。シン・ゴジラと同じようにやろうと計画したが、ウルトラマンのリアリティの無さを克服することが難しく、中途半端になったという印象だった。理屈で言ったら、カラータイマーが要らないのはわかる。あんなもん邪魔なだけだしね。でも、じゃあそれを取ってみたらどうか(俺は体色を変化させるのはとても野生的で先行文明感はあまりないなあと思うけど)、それでウルトラマンの存在自体にリアリティが増したかと言うとそうではなかった。そのカラータイマーを取るくらいなら、これまでみんなが知っていたのと違うウルトラマンという存在にちゃんと肉付けをして説得力を出してほしかった。

結局のところ、単純に「ウルトラマンはなぜ人間を好きになったのか」の部分がシン・ゴジラにはない要素であり、それをストーリーに入れ込んでいったら、その分全体にあったリアリティが薄まってしまったのではないだろうか。先述のとおり、原作をリスペクトしたシーンもたくさんあり、ザラブやメフィラスのような、ウルトラマンファンなら「わかるわ~」となる場面をやりたい気持ちも受け取った。で、やりたいこと詰め込みすぎて、尺が足りなくてカットとなり、ストーリーが繋がるような大事な骨だけ繋いでいって出来上がったものなんだと思っている。

ボロクソ言ってるように聞こえるけど、悪い映画では決してなかったと思う。お話としてはちゃんと筋は通ってるし、神永やメフィラスなど演者もとてもよかった。ウルトラマンファンだからこう言ってるというより、シン・ゴジラと比較したら物足りなかったということだと思う。実際一緒に見に行ったウルトラマンのことをほぼまったく知らない奥さんは、ウルトラマンについてとかは一切わからなかったが面白かったと言っていた。狙いが本当にウルトラマンの入り口としての作品なんだとしたら、これでいいのかもしれない。

 

自分のまとめに書いた、「ウルトラマンが「人ではない存在」であってほしい」ことは満たしているのだが、特撮バトルを見せるための作品ではなかったのが残念であり、そういう意味では、これまで経験してきたウルトラマンのほうが自分自身は好きだなという気持ちになった。

 

7月からウルトラマンデッカーが始まる。ちゃんと知らないがダイナの系譜だと思うのでつるの剛士が出るだろうたぶんきっと。それはどうでもいいな。